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「素起こし(逐語記録)」「ケバ取り」「整文」の主な用途とサンプル例文

文字起こしを注文する前に

文字起こしには、仕上げ方に種類があることをご存知でしょうか。文章の用途に合わせて『素起こし(逐語記録)』『ケバ取り』『整文』という3つの方法が使い分けられています。音声テープを文字起こしする前に、それぞれの特徴を順に見ていきましょう。

文字起こしの仕上げ方の種類

【1】素起こし(逐語記録)

素起こしとは、聞こえた通り、そのままの音声を文字に起こすことを指します。「あのー」「えーっと」「うー」などの意味のない言葉も省略せず書き写すため、その場の臨場感や会話の雰囲気が最も良く伝わる仕上げ方です。面談、裁判証拠、会話分析などのテープ起こしをする際に多く使用されます。

【2】ケバ取り

会話の音声では、一方が話している最中にもう一方が「そうそう」「へえ」「うんうん」などと、合いの手を入れていることがしばしばあります。そのような、話の内容とは関係ない発声を『ケバ』と呼びます。これらの他に、口癖で語尾に入る「〜とね」「〜がね」などもケバにあたります。

ケバ取りは、このような意味のない音声を補正・削除し、あとは基本的に話したままの内容を文字に起こしていく方法です。ニュアンスを大切にして雰囲気を残すよう、適宜、助詞の補正などの修正も行います。用途としてはインタビュー、シンポジウム、会議などに多く使用されているようです。

あまりケバを削除し過ぎると話者の個性を損なう恐れもあるため、バランスに注意しながらカット・修正を行います。

【3】整文

整文の形式に仕上げる際は、ケバ取りをした上で話し言葉の形態から書き言葉に整え、文体も「ですます調」に統一します。用途としては印刷物、閲覧資料、保存用などに使用されます。高度なセンスが必要となるリライト技術なため、任されるライターも選抜されたベテランが担当することが多いようです。

サンプル例文

以下にサンプル例文を挙げます。見比べて表現の違いを参考にしてください。

【1】素起こし(逐語記録)

あのー、与党、与党になって見えてくる風景というのも、はい、あります。えー、野党になって見えてきた風景もあると、えー思います。

【2】ケバ取り

与党になって見えてくる風景というのもあります。野党になって見えてきた風景もあると思います。

【3】整文

与党になって見えてくる風景がある一方で、野党になったからこそ見えてきた風景もあります。

料金についての注意点

料金を比較してみると『ケバ取り』の価格が基本となり『素起こし』、『整文』がそれに加えて料金が割り増しになる場合が多いようです。『整文』が割り増しになるのは作業の手間がかかるためということは容易に理解できますが、『素起こし』についてはなぜ割り増し料金になるのか疑問を持つ方も多いかもしれません。実はこの『素起こし』は、『ケバ取り』よりもはるかに手間がかかる作業です。

テープ起こしの作業は、タイピングのリズムが要となります。頭に文章フレーズを思い浮かべながら流れるようにタイピングをするのが理想的ですが、文章中に「えー」や「あのー」という言葉が挿入されるとタイピングの作業が中断してしまいます。このリズムが崩されるという負担は思いのほか影響が大きく、結果として4割以上の作業時間が余計にかかってしまうこともあります。また校正ソフトを使用する場合、「えー」や「あのー」はノイズとして認識されることが多いため、校正に余計な手間をかける要因の1つとなります。

一見、不可解とも思われる『素起こし』の料金割り増しは、そのような実際の作業効率への負担によるものなのです。

おわりに

文字起こし用の文章を編集した後に発注者の用途と違うことが発覚した場合には、大変な手間と余計なコストがかかってしまうこともあります。文章の用途や仕上げ方について、事前に担当者と意志の疎通をしておきましょう

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